忍者ブログ
自分が感銘を受けたあらゆるジャンルの作品を完全な主観で備忘録的に書きとめていきます。 ■このブログの続きとして、【2109年を生きるゲーム職人への手紙。】に移転しました。 ■ときどきネタバレを含むのでご注意のほどを。
[23] [22] [21] [19] [20] [18] [17] [16] [15] [14] [13]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


ひさしぶりに、魂を揺さぶられる人間と出逢いました。


『作品と会話する』とは、どういうことか?

『全霊を傾けた創作』とは、どれほどのものか?

集団創作の場で、いかに自己実現を果たすか?


ぼくが、これまでつまづいてきた様々な難題の答えを、すべて彼は持っており、45分という短い時間のなかでそれらを鮮烈に見せ付けてくれました。

現在のぼくからすれば遥か高みにいる人間ですが、同じクリエイタとしてこれほど理想に近い人間はおらず、心から「同じ高みに立ちたい」「追いつこう」と思えるクリエイタです。

 

出逢ったといっても、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で放映された指揮者・大野和士の番組を観ただけなのですが、そこに映された彼の生き様がぼくの胸を打ち抜きました。

彼は、まさに人生を賭けて作品を生み出す第一級のクリエイタです。わざわざ門外漢のぼくが言うまでもなく、世界的な評価がそれを証明しています。

ぼくは、音楽関連の制作技術と知識を持っていないので、これまで「オーケストラの指揮者とはすごい仕事だな」と漠然と感じているだけでした。
ですが、大野和士さんの姿をみたことで、一気に指揮者が「どれくらい高次の創作を行なっているのか」を具体的にイメージすることができました。


哲学や思想、創作への姿勢、まわりへの気配り、技術、知識など、さまざま点で優れている大野さんですが、それらすべての軸となっているのが、作品の実現に対して一切の妥協を許さない彼の『生き様』です。

「作品を解釈する」のではなく、「作品と会話する」。それは作品を別の角度から自分流にとらえるということではなく、まさに作品そのものを吸収し、自らが語るという行為です。作品を己の血肉にして、はじめてタクトを握る。
この徹底ぶり。

「公演日(〆切)にベストの作品を仕上げる」ために、どんな状況やトラブルが襲ってこようと、ひるまず自らが解決に挑む姿勢。
自分の作品に対するリスクは自分こそが負う。
負う必要がある立場か否か、といった次元の話でなく、生みの親としてその作品の実現のためであれば「すべて」を引き受ける覚悟が、彼にはあります。
この器の大きさ。

これほどの哲学とポリシィを貫きながら、同時に、何十人もの人間と十全にコミュニケーションをとり、彼らひとりひとりの力を発揮させるべく、彼らをリラックスさせ解放していく指揮者としての仕事ぶり。

これほど真摯に作品と深いレベルで向き合いながら、仲間との円滑なコミュニケーションと共同作業を行ない、そして〆切までに必ず作品を理想的なカタチに創り上げる構築能力と集中力。


約20年間、ただ一人、本場欧州の最前線で生き抜き、己を磨き、結果を出しつづけてきた彼の生き方(生き様)こそが、芸術的であり、作品はその副産物だとさえ思えます。
(もちろん生み出した作品が一級品だからこそ、認められるしすごいのですが)

 

ぼくには、結果として生まれてくる彼の作り出す音楽がどれほど秀逸なものなのかは、正直よくわかりません。
ですが、彼自身の生き様がすでに途方もない輝きを放っていることから、そこから生み出される作品がどれほどクオリティの高いものなのかは想像に難くありません。


多くを学んだ出逢いでしたが、その最たるものの一つが『研ぎ澄まされた良いクリエイタほど、〆切を重要視する』ということです。〆切とは、クリエイタが苦しみつづけると同時に愛しつづけてきた作品がこの世に生まれてくる『誕生の瞬間』ですもんね。
作品が生まれる瞬間。それを楽しみ祝福しよう。そう思いました。

PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新CM
[01/14 かいこー]
[01/02 佐久野伴樹]
[08/20 ひだか]
[08/19 陸]
[12/30 ama2k46]
最新TB
プロフィール
HN:
上野雅成
性別:
男性
職業:
ゲームデザイナー&シナリオライター
趣味:
下駄
ブログ内検索
アクセス解析