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自分が感銘を受けたあらゆるジャンルの作品を完全な主観で備忘録的に書きとめていきます。 ■このブログの続きとして、【2109年を生きるゲーム職人への手紙。】に移転しました。 ■ときどきネタバレを含むのでご注意のほどを。
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世界中が平和になるってどういうこと(状態)だろう?


この作品のなかで、受け手に投げかけられる疑問がこれです。

みんなが幸せになれればいいな。

ぼんやりとそう願ったりすることがありますが、世界から戦争や貧富の差はなくならない。大切であるはずの、ひとや動植物の生命も日々摘みとられていく。
じゃあ、「世界中が平和になる」という理想とは、いったいどういう状態(どのレベル)で実現可能なのだろうか?

おそらく谷口悟朗監督の命題のひとつでもあり、物語のキーパーソンである『カギ爪の男』は、そのことを考えつづけたキャラクターです。


話はそれますが、同じ谷口監督の「スクライド」も観ている方は、ガン×ソードに同じ匂いを感じたのではないでしょうか。ぼくの感触では、スクライドで消化し切れなかった部分を、別の形で結実させた作品だと思います。

混沌の側を主人公とした、秩序との対立。
二作品に共通する構造です。

ぼくはナチュラルに秩序側から物事をみる人間なので、谷口監督の逆からの視点はとても面白く楽しませてもらっていますし、メッセージ性バリバリの明確な対立構造と、それぞれの信念に基づくキャラクターたちの命懸けのバトルも大好きです。

ガン×ソードの魅力は、リズミカルで心地よい作品テンポやポリシィの明確なキャラなどもありますが、なんといっても「善の理屈を悪の屁理屈が押しのけていく」ところです。

その思想や考え方・生き方だけをみれば、主人公であるヴァンよりも、敵として登場する者たちの方が、人として正しかったり、まっとうであるにも関わらず、彼らは衝動のままに突き進むヴァンの前に敗れていきます。

そこに、この作品の巧妙さと、たどり着くメッセージがあります。

想いに囚われること、思想に囚われることによって、ひとが見失ってしまうものがあります。
そのごくごく根本的なものに気づかせるために、スクライドもガン×ソードも「混沌」を代表する主人公が「秩序」をぶちかましていくのです。



いわゆる「正義」ではなく、「義」を貫く男の姿。それがガン×ソードの美しさです。

似て非なるもの。(言葉の意味の捉え方に幅があるので、微妙な解釈の話になりますが)、正義と義、この意識の差はものすごく大切です。

爽快に、鋭く、ひとの生き様を描く谷口監督の作品が大好きです。
ヒーローものの作品を長年手がけてきた谷口監督だからこそたどり着いた「義」の世界。ビリビリと身体の芯に響きます。


(※)そしてこれらの息吹は、「コードギアス」の根底にもあるのですが、この作品は企画自体の色合い(制作スタイル)がずいぶん異なるために、前二作品のような谷口監督の長所が発揮された切れ味のよい作品にはなりそうにありません。残念です。

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