忍者ブログ
自分が感銘を受けたあらゆるジャンルの作品を完全な主観で備忘録的に書きとめていきます。 ■このブログの続きとして、【2109年を生きるゲーム職人への手紙。】に移転しました。 ■ときどきネタバレを含むのでご注意のほどを。
[25] [24] [23] [22] [21] [19] [20] [18] [17] [16] [15]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


二〇話まで『妖奇士(あやかしあやし)』を見ました。

この作品のテーマは、今の日本に生きているぼくら(若い世代)が抱える『心の病』に触れるものだと思っています。

「自分探しの幻想」や「青い鳥症候群」に代表されるような、焦がれるようなどうしようもない内的衝動についてです。


どう生きていくか。
作中で様々なキャラクターが生き方を模索して七転八倒しています。

そのなかで、まだ主人公が持つ特異な能力『漢神(あやがみ)』の存在する意味について触れてこないところを見ると、クライマックスで一気に明かすようです。

(※)『漢神(あやがみ)』とは、人や物から、その名前の原義(真の意味)を取り出し、武器や力に変える特殊能力のことです。

 

『漢神』は『漢神』でしかないという点は、ひとまず語られると思うのですが、ぼくの個人的な思いとしては、「それではちょっと踏み込みが足りないのでは?」と思ってしまいます。


『漢神(あやがみ)』とは、いわば『自分の外側にある、じぶんを映す鏡(つながりを示すもの)』の代表的な設定です。
これ以外にも、作中では「名前を背負うこととは?」「士(さむらい)であることとは?」といった問いかけが各エピソードごとになされてきました。

この作品が、これまで描かれてきた多くの「自分探し」をテーマにした作品と同じなら、クライマックスに『漢神』の存在意義……と、そこから導き出される答え……が解明され、主人公・往壓(ゆきあつ)が自分の道を見つけ、これからも歩んでいく、といったもので構いません。

ですが、ここまで面白い題材(設定)を用意したのだから、今のぼくらが抱えている『自己肯定感の喪失』といったタイムリーな深いテーマに踏み込んで欲しいところです。

これを描くことを念頭におくと、『漢神』の意味の解明はどちらかというと出発点になります。
「自分とは何者か」の答えが、ひとまず出てみないことには、次の問いとして出てくる「自分はなぜ今まで何者にもなれなかったのか」という考察に踏み込めません。
悩みが解決した後、悩んでいたときのじぶんを振り返ることで、ようやく事態を全体視できるからです。渦中にいるあいだは溺れないようにするのに必死で、その渦がどういう経緯から生まれてきたのかなど、渦の意味についてなど俯瞰することはできません。


より今の世代の感覚や問題にフィットさせるなら、この「なぜ」を解明し、主人公・往壓が克服していく道のりを描くのがいいだろうと思います。

「もしかしてそこに切り込んでくれるかな?」という期待を当初から持っていたのですが、2クール構成ならそうではなさそうです。
3~4クール構成で、後半にさらに深くテーマを掘り下げて、往壓の人生を追ってくれるととても面白いものになるだと思うのですが。


もちろん、これはぼくの解釈と期待の話なので、制作者の意図やメッセージはもう少し違うところにあると思います。

それでも

「なぜ、彼(彼女)は逃げざるを得なかったか」

そこをしっかり魅せて欲しいと思ったのです。
そうすることで、「あぁ、だからぼくらは逃げてしまったのか」と、作品を見ているぼくらも気づき、こころの一段深いところで共感することができると思うのです。

PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新CM
[01/14 かいこー]
[01/02 佐久野伴樹]
[08/20 ひだか]
[08/19 陸]
[12/30 ama2k46]
最新TB
プロフィール
HN:
上野雅成
性別:
男性
職業:
ゲームデザイナー&シナリオライター
趣味:
下駄
ブログ内検索
アクセス解析